2009年04月12日(日)
プリンセストヨトミの書評が掲載

■大阪に隠されたすごーい秘密
デビュー作『鴨川ホルモー』の映画化公開(18日)を目前に控え、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの、我らがマキメこと万城目学の最新刊です。
大阪にある空堀(からほり)商店街の2人の中学生と、3人の会計検査院のお役人と、大阪城が軸となって展開する、おなじみ万城目学流の破天荒な物語。
「これって義太夫の演目?」というほど、「実はなになに」満載の重層的構造です。
著者は大阪出身、はからずも大阪発祥の芸能・義太夫節のような、濃い作品ができあがったのでしょうか。
内容は、重層的というだけでなく、うっかりするといわゆるネタバレになりそうでとても説明しにくいのですが、ごくごく大ざっぱにいうと「大阪の庶民たちが、大阪の地で、あるすごーい秘密を400年もの間、守り続けている」といったところ。
そして、これも含めた、「えーっ?ありえな〜い」エピソードが、実在の地名、歴史的事実、また縦横に細かく張り巡らされた伏線や、登場人物のていねいなキャラクター設定によって、とても身近にリアルに感じられるのが、この作品の第1の魅力です。