2010年08月08日(日)
産経新聞朝刊に『星と輝き花と咲き』の書評を書かせていただきました♪

■明治の元祖アイドル物語
明治時代、元祖アイドルともいうべき女性のスーパースターがいた!
その名も初代・竹本綾之助(あやのすけ)、女流義太夫の物語です。
女流義太夫というのは、演者が男性のみの文楽で使われる音曲の義太夫節を女性だけで演奏する芸能で、250年ほどの歴史があり、現在でも活発に活動しています。
初代・綾之助は天性の声や節回しの上に、歌うのではなく心を語るという義太夫節の本質を幼い頃(ころ)から身につけ、
一世を風靡(ふうび)しました。
しかも男装の美少女ときていて、宮様や財界の大物から学生や少女にまで幅広い人気があり、熱狂的なファン達が行く先々を追い回して、それが現在も使われる「追っかけ」の語源になったというほど。
また電車の中吊(づ)り広告よろしく、真打披露公演の錦絵が馬車鉄道に貼(は)られたそうです。
本書は史実をからめつつ、そこには著者のこと、博識と想像力を縦横に駆使して、女芸人の一代記というだけではなく、それは読み応えのある一人の女の人生が描かれています。